建設業をどのような形(元請・下請)であれ営もうとするのであれば、建設業許可(軽微な工事を除く)を受けなければなりません。また、5年ごとに更新をしなくてはなりません。
建設業許可は28の業種により分かれています。また、事務所の内容(所在地・数)により大臣許可、都道府県知事許可と異なった許可に分かれ、請け負う工事の内容(工事規模)によって特定建設業、一般建設業に分かれます。
建設業を開始するとき、または経営計画などに変更があるときは、この建設業許可をどのような組み合わせにするか考える必要があります。
建設業許可について解説します。
建設業許可の必要な場合
- ●1件当たりの金額が500万円(税込後の金額)以上の工事を請負おうとする場合。
- ●建築一式工事で、木造の場合は延床面積が150・以上又は契約金額が1,500万円以上の工事を請負うとする場合。なお、木造住宅で延床面 積が150㎡に満たないときは、金額による制限なし。
- ●公共工事を入札により受注しようとする場合。
建設業許可は、上記の工事を請負おうとする場合に必ず必要とされています。
許可を得ずに上記の工事をした場合、建設業法違反として、取締りの対象となり、刑事罰が適用されます。
また、公官署や公益団体等が発注する工事等を直接請負おうとする場合も、原則として許可が必要です。
「軽微な建設工事」とは、工事一件の請負代金の額が建築一式工事以外の工事にあっては500万円未満の工事、建築一式工事にあっては1500万円未満又は延べ面 積が150未満の木造住宅の工事です。
建設業許可の種類
1.[大臣許可]
2つ以上の都道府県に会社の事務所(営業所など)がある場合
2.[知事許可]
同一都道府県内にしか事務所(営業所など)がない場合 ※複数あっても同一都道府県ならOK
許可行政庁の確認 | |
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同一都道府県内にのみ営業所をおいて建設業を営む場合 | 都道府県知事許可 |
ある都道府県内に本店を置き、その都道府県以外の都道府県に営業所を設けて、本店、営業所ともに建設業を営む場合 | 国土交通大臣許可 |
ここでいう営業所とは、建設業を営むための常設の事務所を有し、看板等の表示のほか、見積り、契約等の実態的な業務を行っている場所です。
従って、現場作業所や連絡事務所などは、営業所に含まれません。
なお、国土交通大臣許可は、その取得に次の要件を満たす必要があります。
営業所の設置と所在確認 | 営業所は常設かつ恒常的に使用される不動産でなければなりません。賃貸の場合でも、当該会社と貸主との間で確実な賃貸借契約を行い、看板の掲出や電話等の連絡手段を設けることが要求されます。 |
営業所ごとの技術者の配置 | 営業所で行う営業範囲は本社と同一です。従って、本社が取得する許可業種を担当できる、同等の技術者を営業所ごとにも配置しなければなりません。 例えば、特定建設業の場合は1級相当の技術者、一般の場合でもその営業所で営業しようとする業種に係る技術者を、常勤で配置する必要があります。 |
- 【経営業務管理責任者】
- 経営業務管理責任者とは、経理や業務などの面 で特殊性が高い建設業にあって、その知識経験を十分に有する人を、経営側の責任者としてあらかじめ指定していただくものです
- すでに許可を有する建設業者の役員経験が5年以上ある
- 個人事業主として建設業を5年以上営んでいた
- 建設業許可は有していないが、何らかの建設業を営んだ確かな実績と裏付けがある法人の役員を7年以上経験した
- 許可を受けている建設業者の令3条使用人(支店長等)を5年以上経験した
- 許可を得て営業していた個人事業主の事業専従者を7年以上経験した
上記が主な経営業務管理責任者の条件です。このほかにも、建設業を営んできた裏付け(契約書や請書等の確認書類)があることを前提に、ケースによっては対象となる場合があります。
- 【専任技術者】
- 専任技術者は、免許資格によって担当できる業種が異なります。
土木系の免許資格 |
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建築系の免許資格 |
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その他の免許資格 |
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実務経験者 |
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【注意】
許可申請する会社の常勤の役員の中にこの要件を満たす人がいないときは、許可申請をすることができません。
また、許可取得後であっても、この要件を満たす人が退職等で欠けた場合は、許可を維持することはできません。
この場合は一旦廃業し、再び資格を有する人を雇用するなど要件を整えてから、再申請する必要があります。
特に株式会社の場合、2年ごとの役員改選が義務付けられておりますので、通算して5年以上の役員期間がある方がいるかどうか、改選前にご確認ください。
特定建設業と一般建設業
許可区分の確認 | |
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元請けとして受注した1件の工事について、下請けに出す金額の合計が3000万円(建築一式工事は4500万円)以上となる場合。(1回でもあれば対象となる) | 特定建設業許可 |
下請代金が上記を上回らない場合 | 一般建設業許可 |
特定建設業許可が必要となるのは、あくまで元請契約により受注した場合に限ります。例えば、一次下請けで6000万円の工事を受注し、2次下請けに3500万円の発注を行った例では、1次下請け業者が一般 建設業許可しか有していなくても、このような契約は可能です。
- 【建設業許可の取得要件】
- 建設業許可を取得するためには、次の4つの要件を全て満たしていなければなりません。
1 | 経営管理能力の確認 | 建設業を営んでいた会社の役員経験又は個人事業主としての経験を最低5年間以上有している人が、これから申請しようとする会社の常勤の役員として1人以上いること。 → 経営業務管理責任者 |
2 | 技術力の確保 | 国の定めた資格要件を備えた技術者を、営業所ごとに1人以上常勤で配置していること。 → 専任技術者 |
3 | 誠実性 | 建設業の営業に関し、不誠実な行為を行う恐れのないこと。過去に許可を取り消され、又は禁固刑ないしは刑法等の罰金刑を受け、その後一定の期間を経過していない場合や、暴力団組織の構成員等に指定されている場合は許可できません。 |
4 | 財産的基礎 | 500万円の資金調達能力があること。 |
特定建設業許可を取得するには上記よりさらに厳しく上記以外に下記のような条件があります。その代わり信頼度も一般 の建設業許可より高いものになります。
1級相当の技術力 | (土木・建築等)施工管理技士・建築士等あっては1級の資格者、技術士又は建設大臣が特に認めた者か、指定7業種以外では、指導監督的実務経験を有する技術者を常勤で配置すること。(指定7業種とは、土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の各工事業です。) |
安定した財産的基礎 |
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この要件は、技術力については常時、財産的基礎は新規取得の際と5年ごとの更新時にも適用されます。従って、技術者が欠けた場合や、更新の直前決算で財産要件を欠いているときは、特定許可を継続することはできません。一般 許可を再取得する必要があります。
【建設業許可の28業種とは】
建設工事の種類 | 建設業の種類 | 建設工事の内容 |
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土木一式工事 | 土木工事業 | 総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む。以下同じ。) |
建築一式工事 | 建築工事業 | 総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事 |
大工工事 | 大工工事業 | 木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事 |
左官工事 | 左官工事業 | 工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははり付ける工事 |
とび・土工・コンクリート工事 | とび・土工工事業 |
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石工事 | 石工事業 | 石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事 |
屋根工事 | 屋根工事業 | 瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事 |
電気工事 | 電気工事業 | 発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事 |
管工事 | 管工事業 | 冷暖房、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事 |
タイル・れんが・ブロック工事 | タイル・れんが・ブロック工事業 | れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事 |
鋼構造物工事 | 鋼構造物工事業 | 形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事 |
鉄筋工事 | 鉄筋工事業 | 棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事 |
ほ装工事 | ほ装工事業 | 道路等の地盤面 をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等によりほ装する工事 |
しゅんせつ工事 | しゅんせつ工事業 | 河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事 |
板金工事 | 板金工事業 | 金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事 |
ガラス工事 | ガラス工事業 | 工作物にガラスを加工して取付ける工事 |
塗装工事 | 塗装工事業 | 塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事 |
防水工事 | 防水工事業 | アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事 |
内装仕上工事 | 内装仕上工事業 | 木材、石膏ボード、吸音版、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事 |
機械器具設置工事 | 機械器具設置工事業 | 機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事 |
熱絶縁工事 | 熱絶縁工事業 | 工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事 |
電気通信工事 | 電気通信工事業 | 有線電気通信設備、無線電気通 信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事 |
造園工事 | 造園工事業 | 整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造する工事 |
さく井工事 | さく井工事業 | さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事 |
建具工事 | 建具工事業 | 工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事 |
水道施設工事 | 水道施設工事業 | 上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事 |
消防施設工事 | 消防施設工事業 | 火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事 |
清掃施設工事 | 清掃施設工事業 | し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事 |
建設業許可の良くある質問例
会社設立代行依頼後の簡単な流れは以下の通りです
Q | 専任技術者は、代表者でないといけませんか? |
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A | 常勤であれば従業員で構いません。 |
Q | 残高証明書500万円以上は、1回証明書を取ればよろしいですか? |
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A | 1度証明書を取得すれば、再度必要ありません。 |
Q | 現在、個人で営業していますが、法人にした場合、建設業許可は継続できますか? |
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A | 建設業許可は継続できません。個人の建設業許可の廃業届を提出後、再度、新規で法人の建設業許可申請をします。 |
Q | 労働保険や社会保険に未加入なのですが、許可はとれますか? |
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A | 労災や雇用保険、厚生年金保険等に未加入でも許可の要件には関係ありません。しかし、従業員や会社のことを考えて、入るように心がけてください。 |
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